劣悪な環境の初アルバイト先で努力して掴んだ未来
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ゆあるさん(女性 33歳 東京都)から投稿いただいた「お悩み解決体験談」です。
ゆあるさんが大学1年生の時に始めたアルバイト先での体験談です。
アルバイト初心者(未経験)であるにも関わらず、初日から店長にとても怒られてしまいます。
そんな職場環境をどうにかしようと試行錯誤しますが、店長との距離は良くなりません。
そこでゆあるさんはあることを決意します。
職場関係が恵まれなかった方が、どのように仕事に従事していたかを語ってくださいました。
私は現在、輸入食品の販売員のパートの仕事をしているのですが、実は大学生の頃から現在働いている店舗にてアルバイトをしており、そこからパートに雇用された経緯があります。
大学1年の4月からバイトを始めたので、今の職場の在籍年数はかなり長いのですが、バイトを始めたばかりの頃は職場の人間関係で酷く苦しみ悩んでいました。
そもそも、大学1年の頃の私はバイト経験がありませんでした。
家庭の教育方針で、高校時代は学問を優先するよう両親に言われていたのです。
初めてのアルバイト先で淡った苦しい人間関係
その為、接客経験が一切無い状態のまま、現在の職場である輸入食品の販売店にバイトとして入ったのでした。
ここで、バイトをしたことが無いのだから接客経験が未熟・あるいは未経験でも当然だろう、とお考えの方も多いかと思います。
ただ、今の職場というのは一般的なスーパーや雑貨店とはかなり異なり、特殊な知識を有した上での接客が求められる仕事場なのです。
『バイトデビュー』という言葉があるように、誰でも最初は未経験者なのは当然です。
しかし、私の場合、初めてのバイト先を現在の販売店に選んでしまった事が、後々の人間関係に悩む原因を生むことに繋がってしまったのです。
バイトに入った当初の私は、まず輸入食品の種類の多さと、扱っている商品の生産国の多さに大変驚きました。
例えばジャムやピーナッツバターは軽く150種類は扱っていましたし、チョコレートは毎日種類が変わり、生産国もブランドも商品名もその日のうちに覚えなければなりませんでした。
その上で、常時チョコレートは50種類ほどを扱っていました。
このように、あまりにも種類豊富な商品を全て把握すること、それぞれの商品の味わいを知ること、時には商品をどのようにして食せば良いのか、といったことまで幅広く知っておく必要性があるのです。
これをバイト初日からこなすのは、今振り返っても正直無理というものです。
しかし、店長は初日だからと言って簡単な作業で済ませるのではなく、初日から品出しやお客様への商品紹介といった接客を行なうよう、私に指示を出しました。
バイト先の店長から浴びさせられる罵詈雑言に心が折れ・・・
無論、これら全てを今日仕事を始めたばかりの人間が完璧にこなせる訳も無く、私は初日から挫折しました。
まず商品知識が皆無であること、知識を覚えようとしても初めて見るような珍しいパッケージの商品ばかりで覚えにくいこと、何より仕事の流れをおおまかに教えてくれるバイトメンバーはいれども、商品知識について教えてくれる仲間が1人も居なかったことが、新人の私を深い挫折に追いやりました。
今振り返れば人員不足で、各人がおのおのの仕事を遂行することで手一杯だったのだろうと思いますが、やはり新人教育というシステムが皆無であったことは否めません。
しかも、店長はバイトの面接時は非常に穏やかで優しい雰囲気でしたのに、バイト初日から突然人が変わったように厳しい言葉を浴びせてきたのです。
例えばバイト初日に商品の陳列を一生懸命していた時、
「なんでそんなにのろまなの?」
と言われたり、
「こんな使えない人を雇ってしまったなんて、今回のバイト募集は失敗だったね」
と他のバイトメンバーの前で言われるなど、精神的に厳しい発言を幾つも受けました。
こうした職場の雰囲気・人間関係の希薄さも、次第に私から
「これからこの職場で仕事を上手くやっていけるのか」
という不安をもたらし、悩ませたのでした。
当時の私はバイト初日からこのような扱いを受け、大変傷付いていました。
なぜ店長はこんなにも厳しく意地の悪い言葉を浴びせてくるのか、ミスをしていないのにも関わらず叱ってくるのか、と毎日悩み苦しみました。
そしてバイト開始から1ヵ月が経とうとしていた頃には、既にこのバイトを辞めようとさえ思っていました。
もちろん、私なりに努力は行なっていました。
きつい労働環境にいながらも現状改善の為に様々な努力をした
例えばバイトメンバーと親睦を深めるため、積極的に自分から声掛けをしたり、休憩中に何気ない話題を話しかけてみるなど工夫はしました。
すると、バイトメンバーとはある程度仲良くなることができ、次第に仕事の流れをより具体的に教えて貰えるようになるなど、進展はありました。
しかし、肝心な店長との人間関係は一向に改善せず、むしろ日が経つに連れて店長の私に対する接し方が荒々しくなっていくばかりでした。
当時の私は、いくら他のバイトメンバーと上手くやっていけても、店長ときちんと人間関係を築けなければいけないということを自覚していました。
だからこそ、店長と仲良くなれる方法を考えるか、いっそのことバイトを辞めてしまうかの二択で葛藤していたのです。
しかし、当時の私にはどうしても、途中でバイトを辞めるということに抵抗感がありました。
子供の頃から、何事も自分で決めて始めたことは最後までやり遂げなければ気が済まない性格でしたし、だからこそバイトも途中で辞めるのは放棄したようなものではないかと自問していたのです。
無論、心身ともに厳しい状況から逃げることは悪いことでもなく、引け目を感じることでもありません。
むしろ健やかな生活を優先するための自己防衛として、逃げたい事柄から逃げることは勇気のある行動です。
ただ、当時の私はある意味で若く未熟であり、何とか頑張ればきっと良い成果が生まれるはずだと信じていたのです。
その為、何か店長と上手くやっていける方法はないかと考えあぐねました。
そして、ある意味かなりシンプルな方法を見つけ出したのです。
店長に認められる為に職場でNo.1を目指して…
それは「バイトメンバーの中で1番優れた人物になること」でした。
それは、商品の陳列スピードや正確さ、レジ操作の正確さ・素早さ、接客対応のクオリティ、先々の仕事を効率的にこなす適応力といった、あらゆる側面での能力をトップレベルまで伸ばすということでした。
その為に、まず私は休憩時間に、店舗裏に置いてあった商品カタログを全てメモし、商品の内容と配合成分・テイストなどを網羅できるようなテキストを自作しました。
これを自宅に帰ってからも読み返し、新しい商品が追加される度に自作のテキストにも追記をしていったのです。
そしてテキストは次第に辞書のように詳細になり、どんなに商品知識が無い人でもこのテキストを読めば商品カタログよりも詳しく商品知識を身に付けられるというレベルまで内容の質が向上しました。
ちなみにこのテキストは全て手書きでしたので、商品内容をメモして書き写す作業が増えるうちに、自然と知識が頭に入っていくようになりました。
そして、こうしたテキストを仕事内容別に何冊も作成していったのです。
例えばレジの操作テキストを作り、基礎的な操作方法だけでなく、返金対応の際に行なう複雑な入力作業などもテキスト化することで頭に叩き込み、これを自宅やバイトの休憩時間に読み込むことで、内容をより正確に覚えるよう工夫しました。
すると、バイトを始めてから3カ月ほど経過した頃から店長の態度が良い意味で変わってきました。
それまで、私にだけ厳しく、冷たい態度をとってきた店長が次第に笑顔を見せてくれるようになったり、それまで私が店長に挨拶をしても無視されていたのに、きちんと挨拶を返してくれるようになったのです。
そうして店長との間の距離感が少しずつ縮まっていきました。
当時の私は、既に商品知識も豊富になっていましたし、レジ操作も他のバイトメンバーに教える側にまで成長していましたから、店長を含む職場のメンバーがみな、私のスキルアップを認め始めてくれたのだと、少しずつ自信が生まれました。
苦労して努力した先に得られた結果とは?
そして、バイト開始から半年ほど経った頃に、なんと店長からプライベートで食事に行かないかと誘って頂けたのです。
その食事の場で、店長は
「私は最初、あなたの事を『のろま』と言ってしまった。これまで入って来た新人は、少しでも厳しい言い方をするだけで直ぐにバイトを辞めていったので、あなたもどうせ同じように直ぐ辞めてしまうのだと思った。」
と告げました。
また
「どうせ努力するような人間ではないだろうと、過去に辞めていった人々と同じタイプだと最初から決めつけてしまった。」
と言って謝罪して下さったのです。
その時、私はそれまで目標としていた
「バイトメンバーの中でトップになること」
を果たしたことよりも、本来の目的である
「店長との人間関係の改善」
に成果が生まれていたのだと知り、非常に嬉しく感じました。
その後、大学卒業までバイトを続け、大学卒業後は一般企業に就職して仕事経験を積みました。
しかし、やはり自分がやりたい仕事をしたいと思い、このバイト先に戻ってパート雇用という形で仕事復帰したのです。
現在、私は店長でもなくバイトリーダーでもなく、ある意味一般的なバイトメンバーと同じような立場で仕事を任されているのですが、実態としてはほぼ店長のような立ち位置に居ます。
バイトメンバーが分からないことは私が教え、接客の際のポイントやレジ操作を正確に行なうコツなども教えています。
その様子を見て、現在もバイト時代から変わらない店長は
「この店のメンバーの中で1番の推しだよ!ここまでの人は代わりが利かない。」
といつも感謝の言葉を下さります。
接客業で大事なことは付加価値のある接客
店長によると、私の接客はかなり他のメンバーとは異なり、非常にお客様からの信頼が高いのだそうです。
確かに初めて店舗にお越しになられたお客様から商品に関する質問をされた際、私は付加価値のある接客を心掛けています。
例えば、
「この缶詰はどこの国の食べ物?」
と質問された場合は、まず生産国をお応えしますが、実際に食されている国や地域もご紹介しつつ、どのようにして食べると美味しいのかもお伝えします。
また必ず、
「日本にある食べ物で例えるならば、あの食品に味わいや食感が似ている」
といった説明をします。
そうすることで、初めて見た他国の食べ物も自宅で美味しく調理できそうだと思って頂けるのです。
このような接客をさせて頂くと、嬉しいことに次にまたお越しの際はご指名を受け、再び商品説明や商品選びを共に行なわせて頂けております。
このような付加価値のある接客を、現在は店長や他のメンバーからも高く評価して頂いています。
あの店長から1番の推し、と言って頂けるのは嬉しくもあり、誇りそのものです。
苦しいアルバイトを経験して得られた私の教訓
私が行なったテキスト作成というのは、あくまで努力のきっかけに過ぎません。
私がバイトを辞めてしまおうと思ったところから立ち直り、最終的に店長との人間関係の改善に成功したのは、
「最大限、この店に貢献すること」
こそが店長の求める役割であると気付くことが出来たからです。
これに気付くまでにはいくらか悩み、遠回りをしましたが、冷静に自身を客観視することが出来たことで、最も重要な役割の意味を見出すことに成功したのだと思います。
現在も同じ職場で、ほぼ同じメンバーで仕事をしていますが、現在も自作のテキストを用いた復習や予習は欠かせません。
ただ、バイトを辞めようと本気で悩んでいた当時とは異なるモチベーションで、今はテキスト作成や商品知識の習得に努めています。
当時はまず店長との関係性を改善し、バイトメンバーの中でトップになることが目的であり、モチベーションでもありました。
ですが、今は
「お客様や他のメンバーと連帯感を持って仕事をする上で、私に求められている役割とは何か」
という観点から自身を客観視し、他の店員には出来ない
「私だからこそできる『付加価値のある』接客サービス」
の向上をモチベーションにして楽しく働いています。
ゆあるさん(女性 33歳 東京都)、お悩み解決体験談のご投稿ありがとうございます。
未経験のアルバイトの方を初日からできないから叱る、というのは随分横暴な店長さんですね…。
そんな環境にも関わらず、やれることをすべてやり、努力し店長の信頼を勝ち取ったゆあるさんは素晴らしいです。
相手との距離を改善したければ、相手が自分に求めていることを探して精一杯応えることです。
困った時こそ、意識的に物事を広く見て考えることが大事だったりします。
なかなか難しいので、誰かに話してみたり、自分の友達が同じ状況に立ったらどうアドバイスするだろう…という視点で考えてみると客観的な思考ができたりします。
しかしその一方で、生きる上では「逃げる」という選択肢が滅茶苦茶大切であることも忘れてはいけません。
自分が頑張れそうで努力できそうなら踏ん張ってみることも大事ですが、もし自分が苦しく折れてしまいそうになったら逃げましょう。
ほとんどの事は逃げても、悪い結果には案外ならなかったりしますよ。